実はいろいろなところで役立っている!非破壊検査に関する基礎知識を紹介

非破壊検査とは、文字通り検査対象を破壊することなく、製品の品質を検査する方法のことです。分解することがないので出荷前の製品でも内部の劣化や欠陥を発見すのに役立つといえます。非破壊検査は精度も高く、表面からは観察しにくい隠れた欠陥も発見しやすいのもメリットです。 非破壊検査に類似したものに、非破壊試験があります。検査手法では同じものですが、非破壊試験は試験結果を用いて製品レベルにあるのかを合否判定する点に違いがあるといえます。

非破壊検査はそのままの状態で確認する方法

非破壊検査(NDT)は、物体や材料の欠陥や異常を見つける際に、そのままの状態を保ちつつ行われる検査方法です。つまり対象物を傷つけずに内部や表面の問題を確認することが可能です。 非破壊検査は産業界において非常に重要であり、例えば航空機、自動車、原子力施設などの安全性を確保するために広く利用されています。代表的なNDTの手法には超音波検査、X線検査、磁粉検査、液体浸透検査、赤外線検査などがあります。 これらの手法は材料の内部や表面に潜む欠陥や異常を可視化し、詳細な解析を行うことができます。超音波検査では音波を材料に送り込み、反射された音波のパターンを分析することで欠陥を検知します。X線検査では物体の透過画像を観察し、隠れた欠陥を見つけ出すことができます。 利点は対象物の損傷や変形を防ぎながら、非常に高い精度で問題を発見できることです。製品の品質管理や安全性向上が図られ、結果としてコスト削減や信頼性の向上にも繋がります。しかしながらNDTにも限界があります。一部の微細な欠陥や特定の材料に対しては検出が難しい場合もあります。そのため非破壊検査だけでなく破壊的な検査や他の手法と組み合わせて使用することが一般的です。

非破壊検査の目的は品質と寿命の確認

非破壊検査は、製品や構造物の品質と寿命を確認するための重要な手段です。この手法は物理的に製品や構造物に損傷を与えることなく、内部の欠陥や問題を非侵入的に評価することが可能です。質の確認では、製造工程における欠陥の早期発見に役立ちます。製品に潜む微小な欠陥や不均一性を検知し、基準を満たしているかを確認します。これにより不良品を減らし、高品質な製品を提供することが可能となります。 寿命確認では構造物の耐久性を評価するのに役立ちます。建築物、橋梁、パイプライン、航空機などの寿命を延ばすためには、内部の劣化や疲労を早期に発見し、適切なメンテナンスや修理を行う必要があります。非破壊検査は定期的な監査や点検で重要な役割を果たします。 さらに非破壊検査は安全性向上にも寄与します。物質や構造物の内部に潜む欠陥を見逃さず修正することで、事故や災害のリスクを低減できます。これにより、製品の信頼性と耐久性を向上させ、使用者や一般の安全を確保します。

非破壊検査は基本的に非接触で行われる

非破壊検査は物体や材料の欠陥を確認する技術であり、基本的に非接触で行われます。この手法は被検査物に損傷を与えずに品質を評価できるため、幅広い産業分野で重要な役割を果たしています。 主な利点は以下の通りです。まず被検査物の形状や表面に変化を与えることなく、内部の欠陥や問題を検出できる点が挙げられます。これは、品質保証や安全性確保の観点から非常に重要です。次には高速で効率的に行われることができます。検査対象となる物体を直接接触させる必要がないため、作業時間が短縮され、生産ラインでの応用が可能となります。 非破壊検査には様々な技術が利用されます。例えば超音波検査は音波を物体に照射して反射や伝播を解析することで欠陥を検出します。磁気粒子検査は磁場を使用して物体の表面に現れる異常を検出します。赤外線検査は熱放射を測定して問題を特定するのです。 非破壊検査の進化により、品質管理や製造プロセスの改善に貢献しています。今後も技術の向上が期待されるこの分野は、産業界において重要な役割を果たし続けるでしょう。

非破壊検査で行われる構造物の確認

非破壊検査は、構造物の確認において重要な手法です。これは材料や構造の欠陥や劣化を評価する際に、物理的に損傷を与えずに行われる技術です。安全性と耐久性を保証するために非破壊検査は建築、航空、輸送、エネルギー分野などで広く活用されています。例えば鉄道や道路橋、パイプライン、原子力発電所などの施設に対して視覚的な検査だけでは捉えきれない問題を特定するのに役立ちます。 主な手法には超音波検査、赤外線熱画像検査、液体浸透検査、磁粉検査などがあります。これらの手法は材料の内部欠陥、クラック、腐食、劣化などを検出し、構造物の健全性を評価するのに役立ちます。 非破壊検査は人命や財産を守るために不可欠なツールであり、事前に問題を把握することで適切なメンテナンスや修復が行われることになります。定期的な検査で長寿命化や経済的な利益ももたらすことができます。技術の進化により、非破壊検査はより高精度で迅速になり、現場での実施が容易になっています。安全性を確保し持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。

放射線を使って行われる非破壊検査

非破壊検査にはいくつかの種類がありますが、その中に放射線透過試験と呼ばれるX線などの放射線を用いて行われる検査があります。この検査はX線が物体を透過する際に減少していく性質と写真フィルムに感光する性質を利用して行われるものです。X線を透過させると線量が減少していきますが、その物体の内部に空洞やキズがあるとその部分だけ線量が減少しません。そのため、試験体に透過させた後のX線をフィルム感光させた時に、空洞があった箇所ほど黒く映るようになります。これにより、内部の状態を知ることが可能です。この非破壊検査のメリットとしては、検査結果が視覚的に分かることが挙げられます。数値で産出される検査よりも改善の必要がある場所が視覚的にはっきりと知ることが可能です。鋼鉄や非鉄金属、非金属材料など材質を問わず対応しているのも大きな長所です。一方で、有資格者による安全管理が必要になるなど、取り扱いには十分な注意が求められる注意点が存在します。

超音波の非破壊検査は深部の傷がわかる

超音波の非破壊検査は、さまざまな産業や医療分野で重要な役割を果たしています。この技術は物体の内部を損傷せずに、深部にある傷や欠陥を非常に精確に検出することができます。産業分野では、超音波の非破壊検査は製造プロセス中の部品や材料の品質評価に不可欠です。部品の内部に微小なひずみやひび割れがある場合、それらは外部からは見えず、しばしば問題を引き起こす可能性があります。これらの欠陥を早期に発見し、製品の信頼性や安全性を確保することができます。また医療分野においても非破壊検査は重要です。例えば、人体の内部にある臓器や組織の異常を診断する際に使用されます。非侵襲的でありながら軟組織や血管、腫瘍などの深部の状態をリアルタイムで観察できるため、早期発見や正確な診断に役立ちます。このように非破壊検査は様々な分野で重要な役割を果たしています。深部に潜む傷や欠陥を見逃さずに、安全性や品質の向上に貢献しています。技術の進化により、より高精度かつ効率的な検査手法が展開されることでしょう。

電磁誘導で表面の傷を確認する非破壊検査

電磁誘導を利用した非破壊検査は表面の傷や欠陥を確認するための非常に有用な技術です。この手法は特に金属などの導電性素材の表面に広く使用されています。この技術では、コイルやセンサーを使って被検査の傍近くに弱い電流を流し、それによって磁場の変化を警戒します。表面に傷や欠陥がある場合、磁場の変化がおきます。傷の大きさや深さ位置などがこれに検出されるのです。この方法的なメリットは、物を破壊せずに欠陥を確認できることです。従来の破壊検査方法では、サンプルを切って詳細な検査を行う必要がありましたが、電磁誘導を用いた非破壊検査では、製品の品質を考慮し、効率的に欠陥を発見できます。またこの手法はオートメーションにも適しており、高速で大量の製品を検査できる点も魅力的です。工業製品の製造ラインなどで効果的に活用されています。その場合は他の非検査手法を検討する必要があります。総合的に言えば、誘導を利用した非破壊検査は、製品品質の向上や安全性の確保に大きく貢献している革新的な技術であり、業界で広く活用されていることがわかります。

微細な傷も見逃さない浸透液を利用した非破壊検査

非破壊検査は、製品や材料の品質を評価するために非常に重要な手法です。特に微細な傷や欠陥を見逃さずに検出できる浸透液を利用した非破壊検査は、産業界で広く採用されています。製品表面に液体を浸透させることで、微細なクラックや不均一な部分を検出します。この手法は、金属やプラスチックなど、さまざまな材料の欠陥を見つけるのに適しています。例えば航空機のエンジン部品や鉄道車両のレール、建物のコンクリート構造などで使用されます。傷や欠陥の近くにある微細なキャピラリーチャネルを利用して欠陥部分に浸透します。その後余分な液体を除去し、欠陥が露出するように可視化します。このプロセスにより目に見えない微細な傷や亀裂も検出できるため、製品の安全性や耐久性が保証されます。検査は製造業において高品質な製品の提供に欠かせない技術です。欠陥が見逃されると、製品の性能低下や突然の故障につながる可能性があります。液を使用した非破壊検査は製品の品質向上と安全性の確保に貢献しています。さらに浸透液を利用する非破壊検査は比較的迅速かつ経済的な手法であり、製品の製造プロセスにシームレスに組み込むことができます。そのため、製品の検査効率を向上させるだけでなく、製造コストを抑えることも可能です。

内部の傷も見つける磁性体を使った非破壊検査

非破壊検査技術は、産業界において品質管理や安全性向上に不可欠な手段となっています。その中でも内部の傷を見つける磁性体を使った非破壊検査は特に重要な技術です。この技術は磁石や電磁コイルを使用して、試験対象物の内部に磁場を発生させます。被験物が磁場にさらされると、内部の欠陥や傷が磁場の変化を引き起こすため、それを検知することが可能です。鉄道の車両や航空機の部品、パイプライン、構造物などの検査において、非破壊検査は欠陥の早期発見に役立ちます。これにより、重大な事故を未然に防ぎ、製品の耐久性や信頼性を確保することができます。この磁性体を用いた検査技術の利点は、非侵襲性であるため被験物にダメージを与えず、効率的かつ迅速な検査が可能なことです。機械的な部品だけでなく、溶接部などの接合部や材料の劣化も検出することができます。ただしこの技術にはいくつかの課題も存在します。例えば、被験物の形状や材質によって検査の精度が異なることや、表面からの影響を受けやすいことが挙げられます。そのため、専門的な知識を持つ技術者による正確な判読が重要です。

過電流の変化で管内の異常を発見する非破壊検査

過電流の変化を利用して管内の異常を発見する非破壊検査は、産業やインフラなどの分野で重要な技術です。この方法では、管内に流れる電流の振れ幅や周波数などのパラメータを監視し、異常が発生するとそれを検知します。 非破壊検査の利点は、管の外部から行われることで、特別な修復作業なしに検査が可能な点です。従来の方法では、管を切断したり分解したりして内部を直接観察する必要があったため、コストと時間がかかっていましたが、変化を用いることで、効率的かつ迅速な検査が可能になりました。 この技術はさまざまな用途に適用されます。例えばパイプライン内部の腐食や損傷、電力ケーブルの断線や劣化、機械部品の欠陥などを検出するのに役立ちます。またエネルギー供給や安全性の観点からも重要であり、予防保全や早期発見により、事故や故障のリスクを軽減できます。 具体的な仕組みとしては、過電流を流す際に管内の物質や形状の変化によって電流の振る舞いが変化することを利用します。その変化を感知するセンサーや機器を使用し、コンピューターアルゴリズムによってデータを解析・評価します。異常な挙動が検知されると、警告や通報を行い、必要に応じて点検や補修作業を実施するのです。

目視も打音も非破壊検査に含まれる確認方法

壊さずに内部を調べる非破壊検査は、放射線や超音波を使う方法が主流ですが、目視も打音もカテゴリに含まれる確認方法ではないでしょうか。目で見て傷などを確認する目視は、給排水管のように確認のために破壊できず、カメラや内視鏡で確認が必要なものを対象に行われます。正確には画面越しに映像を確認する形ですが、目で見て判断を行う方法は間違いなく非破壊検査の1つです。打音は叩いて変化や違いを聞き取る非破壊検査で、主に建物のコンクリートに用いられています。外部から軽く叩き打撃を与えることで、内部に発生する振動を耳で捉える方法です。空洞があれば音が違って聞こえますし、中身が詰まっていればそのような音がします。耳で判断するのが難しい場合は、集音機材を使って、波形のチェックを行うこともあります。非破壊検査といっても様々な種類がありますが、目や耳による判断も重要で、なくてはならない方法だといえるのではないでしょうか。

非破壊検査技術者という認証資格とは?

非破壊検査技術者という認証資格は、材料や製品の欠陥や劣化を確認する際に使用される重要な資格です。この資格を持つ技術者は、非破壊検査と呼ばれる技術を駆使して、対象物の内部や表面に潜む欠陥を検出し、品質を評価する役割を担います。 製造業や建設業、航空宇宙産業、エネルギー産業などさまざまな分野で重要な役割を果たしています。例えば鉄道のレール、パイプライン、航空機部品、建築物の鉄骨、原子力発電所の部品など、これらのものに欠陥があると、安全性や信頼性に大きな問題を引き起こす可能性があります。そのため技術者の役割は社会的な安全と品質保証において不可欠です。 非破壊検査技術者の資格を取得するには、特定の検査手法における知識や技術を学ぶ必要があります。検査の過程で使用される機器や装置の操作技術も重要です。安全においても高い意識が求められます。多くの国や組織が非破壊検査技術者の資格試験を実施しており、合格することでその資格を取得できます。

画像処理を使って行う非破壊検査の自動化

非破壊検査は、材料や製品の欠陥を検出する重要な技術ですが、伝統的な手法は時間と人手を要します。そこで画像処理技術を活用して非破壊検査を自動化するアプローチが注目されています。 製品の欠陥や劣化を迅速かつ効率的に検出できます。まず製品のデジタル画像を取得し、高解像度のカメラやセンサーを使用して微細な欠陥も捉えることが可能です。次にアルゴリズムを適用し、欠陥の特徴を自動的に抽出します。人為的なヒューマンエラーを排除し、信頼性の高い検査結果を得ることができます。 自動化による利点は多岐にわたります。検査時間が短縮され、生産効率が向上します。作業者はより高度な作業に専念でき、生産ライン全体の効率化に貢献します。自動化によりデータの蓄積も容易になり、製品品質の改善に役立てることができます。 技術の進化により検査精度も向上しています。機械学習や深層学習を応用したシステムは、経験則に依存する伝統的な手法よりも高い精度で欠陥を検出します。不良品のリジェクト率を減らし、コスト削減にも繋がります。

非破壊検査の自動化で期待できる生産性向上

非破壊検査の自動化は、生産性向上に大きな期待が寄せられています。この検査は、製造業において製品の品質管理に欠かせない技術です。製品の欠陥や不具合を検出するため、従来は人の目で行われることが一般的でした。しかしこれには作業効率や検査の精度に限界がありました。 自動化によって非破壊検査が行われれば、高い精度と一貫性が期待できます。人の手による検査では見逃しや判断の揺れが起こる可能性があるのに対し機械的な検査は緻密で確実です。その結果製品の品質を向上させることができるのです。自動化で非破壊検査の効率も向上します。迅速に行われるため生産ラインのスピードが上がり、製品の生産量が増加します。また、検査員の負担も軽減され、作業の効率化に繋がるのです。 さらに自動化で非破壊検査のコスト削減も期待できます。機械が作業を行うため、人件費の削減や再検査の減少などコスト面でのメリットが生まれるのです。 ただし自動化には高度な技術が求められます。適切な機械やシステムを導入するためには、多額の投資が必要となりますがその投資は生産向上や品質向上による収益増加につながると考えられます。

著者:町田佳男

筆者プロフィール

神奈川県横浜市出身の34歳。 地元で非破壊検査の仕事をしています。 ここでは非破壊検査の基礎知識をまとめています。
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